海の底

ゲームなどサブカル全般、雑多に気になることを書きます。

別れの季節/始まりの季節 (3月の終わり)

こんにちは、初めまして。北原なつきと申します。

 

ブログ開設してから記事を書くこと能わず、大分時間が経過してしまいましたが、

そろそろ自分のみっともない所感を晒していきたいと思います。

宜しければおつき合い頂けますと幸いです。どうぞよろしくお願いします。

 

* * *

 

さて、第一回目の記事について、何を書こうかなとぼんやり迷っていたのですが、

つい昨日、とても良い観劇体験ができましたのでお伝えしたいと思います。

 

下北沢で行われた慶應義塾高校・女子高校演劇部の定期公演

「君のともだち」

 

です!

初回の記事が、フレッシュな高校生たちの演劇についてというのは、とても幸先が良いですね!

 

 

さてさて。北原は高校演劇というものに無縁でいたのですが、

今回の公演を観てからというもの、

高校生の若い子たちの作る演劇というものに

興味が湧いてきました。

 

何と言っても、登場人物の心が、ダイレクトに伝わってくる。

そんな舞台でした。

高校生の子たち自身が、登場人物の心情に寄り添って

舞台上に立っていた。

技術がすごいと感じた訳ではなく、

ひたすら観客の袖を濡らすような

あれは、“演技”と言ってはいけないものだったようにも思います。

 

今まで色々な大人の舞台を観ていて、

「ああ、この人はこの状況でこんな心情になっているんだ」とか

「こんな心情ではこんな身体の動きになるんだ」とか

 

人物の心情の表現方法についての発見だったり、

あるいは登場人物に共感して涙をしたり

そういうことはよくあったのですが、

 

今回、高校生たちが演じてくれた舞台から感じたのは

それらとは別のものでした。

それは、ただただ登場人物の心情に誠実であるという

役者にとってはあまりに基本的なこと。

 

それが、実はとても難しく、とても大変なことだと

思い知らされたのでした。

 

公演の演出にして主演の女の子

(丹羽理沙子さんという方です)に至っては、

親友との永遠の別れの場面に際して

命を削るようなことばを吐いていた。

「ゆか」と一言呟く度に、

彼女の一部が死んでいくように感じた。

壮絶でした。

 

親友役の女の子にも僕は泣かされていて、

ブログでどうしても触れたい場面が。

病弱だった親友が、遂に逝去してしまう場面です。

 

死を目前にした親友の由香を、彼女の両親が穏やかに看取れるように

由香への別れがたい想いを抱えたまま、彼女の元を離れる決意をした恵美。

寒空の下、覚束ない足取りで歩く恵美が

どたりと転げ落ちたその直後、由香の姿が浮かび上がる。

「えみちゃん、えみちゃん。」

二言だけ、いつものように呼びかけて、そして由香は消えた。

 

上記の流れだけで、恵美が由香の死に立ち会えなかったことが

辛いほど伝わってくるのです。

当分、僕はこの死別の表現を、忘れられないと思います。

 

 

 

登場人物の抱える孤独や寂しさ、哀しみなどの気持ちに寄り添い、

それらをしっかりと感じていた高校生の皆さんに、

とても大切なことを教わることができました。

僕は彼らがとても羨ましい。

その若い年代で、仲間と一緒に素晴らしい舞台を作っていることが。

ずっと自分の狭い世界の中で閉じこもっていた僕の当時と、どうしても較べてしまう。

 

どうか、人物の心情への誠実さをこれからも失わずに、

演劇の世界で羽ばたいていってほしいなと願うばかりです。

 

 

慶應義塾高校・女子高校演劇部

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